建築探訪 アオーレ長岡

アオーレ長岡は新潟県長岡市にある建築です。市民協働型の新しい公共建築として注目されています。設計は隈研吾。3月上旬の信越遠征で訪れました。旅行の様子は下記からご覧ください。

信越遠征 有名観光地と絶景車窓の旅

敷地は過去に長岡市厚生会館などの文化交流施設が存在していたところで、老朽化が進んでいたこと、また市役所機能が市内に点在していたことなどが課題でした。そこで新しい公共施設として会館の建て替え、市役所機能の集約を目指してアオーレ長岡が建設されました。

愛称は一般公募によって決定しました。「アオーレ」は長岡弁の「会おうれ(=会いましょう)」から来ています。

敷地は長岡駅大手口から徒歩1分の立地です。アーケードを歩いていくと左手に抜けが見えます。そこがエントランスです。

左はベンチになっています。木材が多く使用されていて早くも隈研吾という感じがしてきますね。

全景です。アオーレ長岡は市役所機能が入る東棟・西棟と、アリーナ棟の3棟から構成されています。また中央の大きなボイド空間は「ナカドマ」と呼ばれ、3棟がそれを取り囲むように配置されています。

右手前は「マエニワ」と呼ばれ、建物のエントランスとなっています。中に入ってみましょう。

こちらが「ナカドマ」です。隈研吾みを強く感じます。光が差し込んで心地よい空間でした。

ちなみに右のビジョンの大きさは久屋大通パークのものとほぼ同じ大きさです。

建物は4階建てで、3階の部分は「ナカドマ」を囲う通路を一周することができます。このようなフォトスポットと休憩スペースもあります。

職員の方と少しだけお話をしました。すると全国から視察に来る人が多いのだとか。私が歩いているときもカメラを持った観光客ではなさそうな数人グループの方が写真を撮っていました。

この大きな「ナカドマ」は、隈研吾が伝統的な日本建築の中土間から着想を得たものです。昔の土間は炊事や作業のような作業空間として利用された他、商店においては客が入ってくる賑わい空間でした。そういった交流空間を市民同士、あるいは市民と役所という関係の中で促進させることを意図して、このような配置の建築が作られました。

建物内では必要な手続きを1か所でできるような、市民にとって便利で分かりやすいサービスが提供されています。コンシェルジュを配置するなどのソフト的な点も充実しています。

市民と議会の一体感を醸成するため、議場は市民が集まるナカドマ1階に面した場所に配置。外から見えるようになっています。2階には親子傍聴席を設置するなど傍聴環境の充実にも力を入れています。

このナカドマでは多くのイベントが開催されます。それらを通してさまざまな形で交流が促されます。普通市民と役所というのはちょっと遠く感じますが、アオーレ長岡は市民協働型の新しい公共建築として、いろいろな形で交流ができるようになっています。

ナカドマに掛かるトラスの大屋根には融雪装置が設置されており、冬でも自然光による採光が可能になっています。太陽光パネルも備え付けられています。また、積もった雪は溶かして建物内に循環するなど、環境負荷低減の工夫も多くなされています。

エントランスには長岡の歴史についてのパネルが配置されています。

右に見えるのはアーケードですが、この原型になったのは雁木であると言われています。雁木は勾配のある建物の庇を歩道の上空に延ばした屋根のような構造物で、これによって雪を落とすと同時に、雁木の下の歩道を大雪時でも通れる状態にしておく役割があります。雁木のある街は日本海側の豪雪地帯に点在しており、栃尾などを有する長岡はその代表都市です。

長岡ということで、花火に関する展示室もありました。規模は大きくありませんが、一見の価値ありです。シアタールームも併設されており、長岡の花火に関する映像をスクリーンで楽しむことができます。

その他、5000人規模のアリーナもあり、イベントやスポーツ交流の場としても活用されています。

いかがでしょうか。アオーレ長岡は隈研吾みがあふれる市民協働型の新しいタイプの公共建築です。ぜひ行ってみてください。

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