怒涛の巨大開発!虎ノ門の大変貌と森ビルの本気

東京編の後編は港区です。このあたりはオリンピックとは直接は関係ありませんが、世界と戦う国際都市となるための都市機能の高度化が進んでいるエリアです。その中でも特に勢いがある虎ノ門、東京タワー周辺を中心に紹介していきます。

港区の新ランドマークと言えば虎ノ門ヒルズです。最新鋭オフィスと最高級ホテルからなる54階・255.5mの森タワーは東京一の高さを誇ります。

しかし虎ノ門ヒルズはこの1棟だけではありません。付近にはさらに3棟の超高層ビルが建設され、それらと一体化して完成形となります。建設されるビルはオフィスとタワーマンションで、虎ノ門ヒルズは都心に必要な機能がまとまった、ひとつの街を形成します。

森タワーの南に建設されるのは、虎ノ門ヒルズ・レジデンシャルタワー(54階・221.55m)です。およそ550戸の住居を供給、会員制のスパも併設します。ただのタワーマンションではなく、国際新都心をめざす虎ノ門エリアに相応しい、ハイクラスな住居となる予定です。

現在は躯体工事の3階にかかり始めたくらいです。2021年の完成を目指します。

森タワーの北に建設されるのは、虎ノ門ヒルズ・ビジネスタワー(36階・185.415m)です。低層部には商業施設の他、大企業とベンチャー企業の交流拠点としてイノベーションセンターが開設されます。

鉄骨は全体の3分の2くらいの高さに到達しています。2019年の完成を目指します。

森タワーの西に建設されるのは、虎ノ門ヒルズ・ステーションタワー(49階、265m)です。虎ノ門ヒルズ工事の総仕上げのような存在で、このビルの竣工をもって虎ノ門ヒルズは完成形になります。

2020年度の供用開始を目指す日比谷線の新駅とも直結します。低層部は街区を結ぶ歩行者が歩きやすいデッキが整備されます。

続いては東京ワールドゲート(虎ノ門トラストタワー、38階・179.95m)です。オフィス、ホテル、住宅、商業などで構成される複合ビルです。敷地内に5000平米の緑地を設け、緑豊かな国際ビジネス交流拠点を目指します。

東京ワールドゲートという名称は、世界と東京、世界と日本をつなげるゲート機能にするという意図があるようです。2020年の完成を目指します。

虎ノ門2-10計画(38階・188.65m)はホテルオークラの建て替えプロジェクトです。半世紀以上の歴史を刻んだホテルオークラはオフィス、商業施設との複合ビルとなって生まれ変わります。2019月の完成を目指します。

低層棟も建設されます。こちらはホテルになります。結構な傾斜地に建っています。

これらは全て森ビル(ホテルオークラは除く。東京ワールドゲートは森トラスト)による計画です。森ビルは創業の地であり本拠地である港区を徹底した超高層化という手法で開発しています。

それではこの開発を含めた周辺の景色を東京タワーから見てみましょう。

まずは北側、正面に虎ノ門ヒルズがそびえます。右に見える愛宕グリーンヒルズも森ビルのプロジェクトです。左に見えるタワークレーン4基が東京ワールドゲート、その奥のタワークレーン3基がホテルオークラです。さらに奥には昨年完成した赤坂インターシティAIR(38階・205.08m)が見切れています。

元祖超高層の霞ヶ関ビルや東京スカイツリーも写っています。探してみてください。

西を見てみると200mを超えるオフィスビルが集積しているのが分かります。右からこれまた森ビルのアークヒルズ仙石山森タワー(47階・206.69m)、形状が特徴的な泉ガーデンタワー(45階・201m)、昨年完成した六本木グランドタワー(43階・230.76m)です。ほぼ正面に東京ミッドタウンが見えます。奥のビル群は新宿です。

左には六本木ヒルズ(54階・238.06m)が見えます。森ビルはその手前に見える低層ビル群を再開発する六本木五丁目西地区計画も進めています。規模は不明ですが、六本木ヒルズを超えるとも言われています。

右端は渋谷です。当ブログでも昨年レポートしましたが、渋谷は東急が威信をかけて再開発を進めているエリアです。先日は渋谷ストリームが開業、タワークレーンが見える渋谷スクランブルスクエア(47階・229.706m)は渋谷の新ランドマークです。

そして真打登場です。左手前に見えるのは森ビルが本気で取り組む麻布台虎ノ門再開発です。高さ240m、270m、330mのトリプルタワーを建設する超巨大プロジェクトです。

現在は住宅が立ち並んでいますが、リニア用地買収の駅西のように少しずつ建物が歯抜けになってきています。森ビルは何年も、何十年もかけて交渉、買収をする会社です。これだけ広いエリアを一体開発するのですから想像を絶する苦労があったに違いありません。

しかしそこまでしても超高層化と緑地にこだわる森ビルの本気度には感服します。もともと低層雑居ビルを超高層化し余った土地を緑豊かな歩行者空間にするというのは近代建築の巨匠ル・コルビュジエの発想ですが、森ビルの中ではル・コルビュジエの構想が脈々と受け継がれているに違いありません。

引用都市再生特別特区(虎ノ門・麻布台) 都市計画の概要(PDFファイル、やや重め)

完成予想図です。330mのA街区は65階建て、下3分の2ほどがオフィスで上が住居です。B-1街区、B-2街区はそれぞれ64階、53階のタワマンです。低層部のC街区も曲線が多用されている面白そうな空間に見えます。

完成すると港区の景色は一変しそうです。このトリプルタワーは今までの再開発をはるかに凌駕するインパクトを与えることでしょう。完成は2022年予定とそう遠くありません。とても楽しみですね。

せっかくなので南側も載せておきます。羽田空港がある関係で200mを超えるビルは殆どありませんが、高層ビル密度はここ数年でかなり高くなってきました。目玉はやはり品川車両基地の跡地再開発です。JR東日本は2020年に品川新駅を暫定開業させ、その後再開発を行います。

右奥に見えるには武蔵小杉のタワーマンション群です。中央やや右には先日レポートした横浜が見えます。視界のいい冬ならもう少しはっきり見えるかと思います。

西側は湾岸地区のタワーマンションが目立ちます。右端が前回レポートしたシティタワーズ東京ベイ。オリンピックの会場の一部はこの付近にあります。

同じく前回レポートした勝どき地区は中央やや右。既に相当タワマンが密集していますが、さらに50階以上のタワマンが少なくとも5棟は加わります。

左側は汐留です。今のところ大側プロジェクトはありませんが今後計画が出てくるかもしれません。

いかがだったでしょうか。東京の勢いは異次元です。名古屋はもちろん、うめきた2期などで勢いがある大阪でも比較になりません。前回も書きましたが、一極集中という点で考えるとこれはあまり好ましいことではないですね。

とはいっても工事や再開発好きにとって非常に楽しい東京の大変貌期間はしばらく続きそうです。当ブログではこれからも首都の激変期を定期的にレポートしていきたいと思います。

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コメント

  1. 元名古屋人 より:

    東京一極集中には驚きます。
    大手町や新宿、渋谷は勿論の事、田町や日比谷の再開発もかなりのものです。川崎の武蔵小杉は昔は、工場地帯であったのに今はお洒落なタワマンエリアとなっています。人口が多いので需要が上がり供給規模も大きくなるのは分かりますが、オリンピック特需外のこの再開発集中には都民も何処に何が出来るのか全く把握できません。

    正直、このようなビルを建てる土地がよくあったなと思う都民の人が多いと思います。
    特に山手線内側は、空いてる土地は即売却され、大きめの土地が売りにでるとその近辺のビル・家屋を買収併せて大々的に土地活用します。

    都内で一軒家を持つのは益々不可能であり、超高層マンション化が進み一軒家希望者は千葉、埼玉等の隣接県や23区外の郊外に住み選択しか残されなくなるでしょう。リニアが大阪迄開通したら大阪が同様な事になる事でしょう。その前兆が既に、大阪で起こってます。投資家やデペの投資が本格化し、大阪財界や地元電鉄がインフラ整備を中心とした積極的な再開発を大阪市内で展開しています。

  2. ななし より:

    オリンピックの3兆円の国税ドーピングと、毎年10万人入り続ける人口ドーピングがあるのに、実質GDP は三年連続減少

    東京に奪い取られている地方大都市がGDP 成長して支えている状況

    一極集中のもと都内から新産業は全く育たず
    もう一極集中をやめる時期にきてるわ

  3. 県外名古屋生人 より:

    森ビルさんでも森トラストさんでもいいから名古屋に進出してくれることを切に願うばかりです。

  4. 匿名 より:

    2001年頃森ビルさんはトヨタとJV組んで千種の再開発に名乗り出てたんですけどね。まあイオングループが開発者に認定された上に8.5ヘクタールの工場跡地にイオンとちっさいマンション群(施設の殆どが個別経営)にしたあたりからあんまり名古屋に積極的じゃない気がしますね。

    • 県外名古屋生人 より:

      発展するチャンスを切り捨て、ここにきてリニアリニアと焦る計画性のない行政にうんざりです。泣けてきます。

  5. 県外名古屋生人 より:

    こないだアーバンネット名古屋ビル一体が指定された都市再生特別地区の制度について調べていたのですが、もしかして、ノリタケ地区もこの指定をすれば高さ規制を完全に取っ払うことができるってことなのでしょうか?この記事とは直接関係ありませんがご存じの方が居ましたら教えていただけどと有りがたいです。

  6. 元名古屋人 より:

    丸栄の再開発も畑違いの興和じゃなくて、森ビルが取得していれば
    暫定施設10~20年使用なんていうほとんど白紙同然のような無知な計画などにはならなかったでしょうね。

    あげくのはてには10年単位の土地賃貸も可能という情けないありさま。正直、興和では埒が明かないです。リニア開通まで待って価値が上がったところで売却予定かもしれませんが。そうであったら安藤同様の同じ穴の貉ですね。

    森ビルは六本木ヒルズを建設時、入り組んで複雑な地権者と交渉し。まとめあげた実績があります。栄再開発の為に、早く実績のあるデペに売却して、邪魔されないキャッスル関係の建て直しに向って欲しいです。

    千種再開発時のトヨタと森ビルの最強タッグを次点にした時点で、現状の名古屋市再開発の予兆であった気がしますね。

  7. より:

    金山:現状集客力があるからとかいう意味不明な理由で28年まで延期になったアスナル金山と、高層化する構想も出てこない特殊陶業の市民ホール。まあイベントが出来なくなってしまうとかいう理由で反対する市民も市民。高層ビルの低層部にイベント行えて開放感のある広場を作るといった発想もなし。

    千種:上の通り、追記するならやる気のない千種駅リニューアル

    栄:住商ビルと久屋大通公園のPark-PFIは高く評価出来るが、2007年の発表から話が一向に纏まらない栄広場街区の一体開発(恐らくトップカメラの反対)、その1つ上の街区である16番街区の老朽化した名古屋市教育館も話が進んでいない。丸栄と栄町ビルももう10年以上は期待出来ない。

    大曽根:もう再開発失敗で意気消沈。あそこの三菱電機の移転計画を全面的に打ち出してナゴヤドームまでの導線を作るといったこともしてない。まあそのナゴヤドームも周りに高層ホテルがあるかと思ったらまさかのイオンだし。名鉄瀬戸線の名駅、笹島乗り入れするくらいしてターミナル駅化するくらいしないと多分もう無理。それかゆとりーとラインに瀬戸線分岐新線が乗り入れるくらいしないとどうしようもない。結局道路建設して街を破壊した上にそれを知らん振りする市政、JRは新幹線とリニアしか眼中に無いから当然スルー、借金返済企業で殿様商売する名鉄は高架下を汚いまま放置。あそこの有用性をわかってるのはこの前メッツ大曽根あたりを取得した阪急とかいう皮肉。

    名駅に関しても醜い壁くらいしか当分期待出来ない。三井北館の失敗。第2埼玉ビルと名古屋ビル東館の一体開発の話も出てこない。他に一体開発の話が出てきそうなのは大東海ビルと堀内家系かな?キャッスルプラザももうすぐ計画が発表されるだろうけどそこまで土地広くないから微妙。何れにしろ名駅から高層ビル群を国際センター側に伸ばそうという発想が乏しいと思える。

    • より:

      ほとんど自滅しすぎててもう期待出来る土地が少ない。郊外に関してもJRと名鉄の駅周辺は謎の高さ制限のためにタワマンも建てられない。

      SNSなどの情報発信に最も有効なネットツールを使えず、調整能力皆無の上、名古屋城木造復元(長期的な集客の増加は見込めないためあまり期待してないですが)すら円滑に進められない名古屋市政。累積欠損金からして駅リニューアルすらまともに出来ない上東部線新設はほぼ100%実現不能の市交に新幹線とリニアしか眼中に無いJR東海、未だ借金返済企業と化してる名鉄。終いには子供同士の喧嘩みたいなことしてる市長と知事。最近はイマイチどこに伸びしろがあるのかわからなくなってきました。

      • 県外名古屋生人 より:

        考えれば考えるほど悲しくなってきました( ノД`)…