グランドメゾン御園座タワーは伏見にある劇場とタワーマンションの複合超高層ビルです。高さは150mで伏見では圧倒的、都心でも名駅と栄を除けばトップクラスです。
かつてこの地にあったのは旧御園座会館の劇場。平成の後期には劇場が次々と閉館していましたが、ここは建て替えを経て再び劇場が作られました。
住所 | 中区栄一丁目602番3 |
高さ | 150m |
階数 | 40階 |
敷地面積 | 4,831.90 m² |
建築面積 | 3,641.04 m² |
延床面積 | 56,128.96 m² |
竣工 | 2017年 |
建築主 | 積水ハウス |
設計 | 鹿島建設 |
施工 | 鹿島建設 |
南東から見たグランドメゾン御園座タワーの様子です。黒っぽい色でまとめられていてかっこいいです。
低層部のデザイン監修は有名建築家の隈研吾が携わっています。そして左手前の碧海信金ビルも隈研吾。こちらの木材を張り巡らしたビルの方が隈研吾っぽいですね。
高層部は、白い大きな庇とコーナー部のガラスの感じが、東京の虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー、大阪のザ・パークハウス中之島タワーによく似ています。
低層部のこの意匠はなまこ壁と呼ばれるもの。黒い瓦を白の漆喰で塗り固めて斜めの格子状の模様を形成しています。火災などにも強い日本の伝統的な壁の形式とされています。ただしこの壁は本物の漆喰ではなく模擬的なものです。
1階には店舗が入っています。施設内は土産物中心の「御園楽座」やベーカリー「御園麦工房」、そして和風カフェとグリル「御園茶屋」から構成され、これらを総称して「御園小町」と呼ばれています。
右が劇場入り口です。壁は「御園座レッド」と呼ばれる鮮やかな赤色が採用されています。よく見ると歩道も朱色系でまとめられています。
かつての建物はボウリングやビリヤード、演劇専門図書館などバラエティに富んだ施設が併設されていました。現在は演劇図書館のみ引き継がれて建物エントランスの一角にあります。
またかつて劇場のキャパシティは1656席でした。建て替え後は1299席で以前の8割ほどとなっています。
以前は中日劇場、名鉄ホールをはじめ市内にもさまざまな劇場がありました。しかし赤字などが原因でそれらの劇場は閉鎖、御園座も赤字に陥っていました。さらに老朽化の問題もありました。そこで積水ハウスと共同でマンション併設型として再開発するとともに、地元企業などから支援を募り、なんとか劇場を建て替えて存続することができたのです。今後も名古屋の演劇文化の拠点として末永く続いてほしいと思います。
伏見通でもひときわ目立ちます。周辺の高い建物はヒルトン、日土地ビル、インターシティ、NTTデータ、最近はタワー・ザ・ファーストなども増えましたが150m級の御園座はやはり圧倒的です。
道路の先の御園座タワーです。南北幅は狭いので塔状比の大きいスリムなタワーが道の奥にそびえる様子が見て取れます。
ヘリポートも大きいのでよく目立ちます。屋上設備スペースの関係なのか、ヘリポートは中心から若干西にずれた位置にあります
ちなみに環境アセスメントは、池下タワーやミッドキャピタルと違い延床が5万を超えてしまっているので、しっかり通しています。アセスを通した物件では最小かもしれません。
御園座タワーは伏見のランドマークとして、そして名古屋の劇場文化を盛り上げていく場所として、人々の心にあり続けていってほしいと思います。