大名古屋ビルヂングは、名古屋駅前に建つオフィス主体の超高層ビルです。旧大名古屋ビルヂングとロイヤルパークホテルの跡地を一体的に開発し、建設されました。
名古屋駅を降りたって東口に出ると最初に目にとびこんでくるビルの一つ。美しい外観とインパクトのある名前で、名駅の他ビルと比べて高さは低いものの、大きな存在感を見せています。
2009年に建て替え発表、2012年に旧ビル閉鎖解体、その後建設が始まり2015年に竣工。オフィスから先行入居して翌春に商業施設を含めた全面開業となりました。
住所 | 名古屋市中村区名駅3丁目28-12 |
高さ | 174.7m |
階数 | 34階 |
敷地面積 | 9,155.56 m² |
建築面積 | 6,582.82 m² |
延床面積 | 147,871.79 m² |
竣工 | 2015年 |
建築主 | 三菱地所 |
設計 | 三菱地所設計 |
施工 | 清水建設 |
大名古屋ビルヂング全景です。丘の上の大樹をコンセプトに設計されました。低層部は旧ビルの形を踏襲した形です。その上に高層部が乗っかります。
低層部は商業施設3階まで、4階が金融ゾーン、5階がカフェと屋上庭園となっています。かつてのビルは12階建てでそれに比べると半分以下ですが、昔のビルは階高が低かったため、高さで言うと旧ビルに比べてそこまで低くなった感はありません。
ちなみに旧ビルは3期に分けて建設され、1965年に全体完成しました。長らく森永製菓の球体ネオンサインがあったのを覚えている方も多いかもしれません。
こちらが屋上庭園です。植栽が多く、都会の真ん中にいながら緑と触れ合える空間となっています。
ここからはJRゲートタワーとJPタワー名古屋がよく見えます。絶好のビル観察スポットです。
メインエントランスは右下に見えるビル西側の開口部です。オフィスエントランスはその南側にあります。
建て替え構想が発表されたのは2009年でした。その時は38階・190mと発表されていました。当初と比べると多少小さくなっていますが、リーマンショックで世界中が不況だったことを考えると許容範囲かと思います。
JRゲートタワー、JPタワー名古屋が同時期の工事となったため、3棟並んで建設される姿は迫力がありました。その分供給過剰が心配されましたが、様々な企業の入居が集まり、底堅い名古屋のオフィス需要で床はしっかり埋まりました。
ランダムに取り付けられたルーバーがきれいです。時間帯によってルーバーが太陽の光を反射し、美しい表情を見せます。
ミッドランドスクエアやJRゲートタワーなどが高層部に映り込むのもかっこいいです。超高層ビル密集地帯の名駅だからこそ景色です。
34階・174.7mは他の地域なら間違いなく主役になれる規模ですが、名駅の他主要ビルは200m超がいくつもあるため、それらと比べると小柄な方になってしまいます。
写真下の大名古屋ビルヂングの文字はライトアップにさまざまな色に変化します。一方大名古屋ビルヂングという名称そのものは建て替えを経ても変わりませんでした。再開発でビル名が新しくなる例も多いですが、ここは旧ビル名が親しまれてインパクトがあるという理由でビル「ヂ」ングが踏襲されました。
低層部のファサードもよく見ると凝っています。縦の部材は単一ではなく互い違いになって並べられています。模様も入っています。
なおテナントは飲食店、物販店舗、時計店が3分の1ずつくらいです。かつては伊勢丹の小型店舗「ISETAN HAUS」が入っていましたが、売り上げ不振のため撤退、その後にJR高島屋ウォッチメゾンが入りました。
裏側から見た様子です。出っ張っている部分がエレベーターやトイレなどのコアです。三菱地所のオフィスは正方形で、コの字型の執務空間がコアを取り囲むような平面形状が多いです。ここもそのパターンでコアは北東側です。
地上レベルは建物をセットバックさせ小規模な広場が整備されました。それに面するように飲食店もあります。名駅三丁目のこのあたりは飲み屋が多いので賑わいの相乗効果が期待できると思います。
それでは建物の中を紹介していきましょう。
商業施設の内部は白基調でまとめられています。1階は特に天井が高く、吹き抜けもある開放的な空間になっています。
旧ビルには商業施設としての役割はほとんどなく、もっぱら業務ビルという感じだったので、新ビルになって賑わいがより生まれたかと思います。
ちなみに地下はダイナードという地下街になっています。かつての名前を受け継ぎつつ明るい白基調のきれいな地下街にリニューアルされました。
屋上庭園です。かつてはビアガーデン「マイアミ」が展開されていました。新しい庭園はそこまでの広さはないですが、今風のおしゃれスポットに生まれ変わりました。
写真のように春は桜、夏はひまわりなど、季節の花で彩られる豊かな空間です。家族でくつろぐのも、カップルのデートにも、ビルウォッチングにもぴったりです。
オフィスロビーです。天井はランダムな横ルーバー。外装と統一感のあるデザインコードですね。
エレベーターは写真のように低層、中層、高層の3バンクに分かれています。三菱地所のビルなのでやはりメーカーは三菱です。
右のガラスの奥には車寄せがあります。その壁面には旧ビル時代に使われていた巨大な壁画が飾られています。それ以外にも旧ビルの遺構はエントランスの銘板や地下エレベーターホールでも流用されており、大名古屋ビルヂングのDNAは名前だけでなくさまざまな場所で受け継がれていることを実感します。
親しまれた名前や50年間の歴史を継承し、洗練されたデザインになった大名古屋ビルヂング。次の半世紀でも市民から長く愛されていくでしょう。