今回はオーストラリアの最終回、建築編です。紹介するのはシドニーのオペラハウス。誰もが知る有名建築です。
オーストラリア第1弾、シドニー市内観光はこちら。
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オペラハウスはオーストラリアで最も知名度の高い近代建築です。世界的にみてもオペラハウスと肩を並べるほどの有名建築はそれほどないでしょう。
竣工は1973年。実は今年は50周年の記念すべき年なのです。お土産にはオペラハウスの50周年特別デザインのトートバッグを買えました。時々使っています。
こちらがオペラハウス全景です。この特徴的な形はあまりにも有名だと思います。設計はヨーン・ウツソンというデンマーク出身の建築家です。実に233もの案から選ばれたそうです。
当初1959年に着工、1963年に完成予定でした。しかしその特異な形状から工事は長期化、実に10年も遅れることになりました。特に船の帆のような形をした部分を構造的にどう成り立たせるかが難航したようです。
工事費も当初予定よりはるかに多くなる見込みとなり、次第にウツソンと行政の関係はこじれていきます。しまいにはウツソンへの設計料の支払いを行政側がストップ。これに反対したウツソンは自ら設計者の辞任を申し出ました。そしてオペラハウス建設のためにシドニーに移した建築事務所を畳み、ウツソンはデンマークへと去りました。その後二度とシドニーの地を踏むことはありませんでした。
ウツソンが去った後はピーター・ホールが設計者の後任になりました。その他何人かの建築家とともにオペラハウス完成に向けて力を尽くすことになりました。ウツソンの案は費用が掛かりすぎる部分があり、いくつかの部分が簡略化されて建設されることになりました。
こうして1973年、オペラハウスは完成しました。工事費用は当初の予定の14倍になったそうです。
杮落し講演ではベートーヴェンの交響曲第9番が演奏されました。盛大に完成が祝われたことでしょう。
オペラハウスは遠くからだと1つの建物に見えますが、実は3つの建物に分かれます。左に見えているのがレストランなどが入っている小さなシェル、中央が大きなコンサートホールなどが含まれるメインのシェル、右がやや小さなホールなどが含まれるシェルです。
その他コンサートホールだけでなく、オペラ劇場、ドラマシアター、プレイハウスなどさまざまな機能が内包されています。
それでは中に入ってみましょう。
内部はこんな感じです。思いのほか天井が高く感じました。頻繁にコンサートなどに行かない私はこういう劇場自体が非日常ですが、ここオペラハウスの壮大な空間は非日常そのものでした。
オペラハウスは外部のシェルと内部の劇場部分の構造体が独立しています。中央部分、左からくる斜めの外殻と右の内部構造との間に空間があるのがわかるでしょうか。ものすごい難度の構造です。
建物北側まで来ました。(オーストラリアは南半球なので当然北側が最も日当たりがよく、南側は日陰になります)
海上に向かって突き出すシェルをほぼ真下からみることなどなかなかできません。大迫力です。
内部の様子です。最近改修されたようで、音響の改善、照明や反射板の増設などが行われたそうです。
見学なのでここにいたのは10分にも満たない時間でしたが、世界の一流建築を全身で感じることができて大満足でした。
最後は海から見たオペラハウスです。見る方向によって表情を変えます。夜はライトアップも素敵です。
さて、オペラハウス建築に苦しい思いをし、途中でシドニーを出ていくことになってしまった建築家ウツソンでしたが、この話には続きがあります。この独創的な建物が完成後に評価され、同時にウツソンの功績も評価されるようになりました。
2003年には建築界最高の賞であるプリツカー賞を受賞。さらにウツソンはシドニー大学から名誉博士号を授与されました。このときウツソンは85歳と高齢でオーストラリアには行けなかったため息子が受け取ることになりました。
その後2008年ウツソンはこの世を去りますが、存命中に成果が認められたようで本当に良かったと思いました。
いかがでしょうか。シドニーに行った際はオペラハウスは必須です。ぜひ行ってみてください。