12月中旬、中部国際空港セントレアの新滑走路整備事業の詳細が判明しました。詳細な進め方、費用、完成目標年度が示されたのは初めてです。
今年5月には県の沖合埋め立て事業の承認が行われ、スピード感をもって事業が進んでいます。
中部国際空港は国際空港でありながら滑走路が1本で、将来的な需要増や冗長性への対応に問題があり、また名古屋港の浚渫土砂の処分場の課題もあったため、その解決策として沖合埋め立てと滑走路整備を行う方針でした。
今回は新たに整備のステップなどが明らかになりました。その内容を詳しく見ていきます。わかりやすくするため現滑走路をA、東側滑走路をB、第2滑走路をCとして述べていきます。
①現滑走路(A)より210m陸側に3290mの東側滑走路(B)を整備する。2027年を目標。
②新滑走路との2本体制(AとB)としながら、完成後に現滑走路(A)の大規模改修を開始。
③海側に埋め立て事業と並行して3500mの第2滑走路(C)を整備。2037年を目標。
④現滑走路(A)を廃止。最終的にセミオープンパラレルの2本体制(BとC)で運用。
かつては③のみ整備で2本体制にもっていくという案でしたが、大きく変更されたようです。おそらく滑走路間の距離が関係しているものと思われます。
当初案では2本の滑走路の間の距離が550m程度のクローズドパラレルとなり、独立して運用することができません。せっかく埋め立てをして整備しても費用対効果がイマイチとなってしまいます。
しかしステップ①によって陸側に滑走路を「ずらす」ことにより、最終的に完成する2本の滑走路の間の距離が760mとなり、セミオープンパラレルで運用可能となります。
セミオープンパラレルは、片方を出発、片方を到着として独立運用でき、同時に出発という運用もできます。(同時到着のみ不可)
最初の滑走路を整備する費用は140億円とそこまで大きくありません。そのため、割と少ないコストで(沖合滑走路が完成した際)そこそこ大きな効果が得られる、コスパのいい方法と言えるでしょう。
新たに滑走路が完成することで、デッキから飛行機の離発着が今よりも近い距離で見られることになりそうです。
なお費用を抑えるため滑走路の幅は45mになるようです。主要空港では60mが基本ですが、機体の性能向上に伴い45mでもよくなったそうです。
これにより、年間発着回数が13万回からおよそ1.5倍となる19.5万回へと引き上げられます。また完全24時間運用が可能になります。
完全独立運用ではない点や、ターミナルから第2滑走路に行くまでに東側滑走路を横切る必要があることなどから、単純に2倍にはなりません。
具体的なステップも明らかになり、ついに2本目に向けて動き出した新滑走路計画。まだまだインバウンドの動きは弱いですが、再び年間利用客1000万人を超える日はかならず来ます。1500万人だって行けるでしょう。コロナ後に向けて今のうちから発着機能を強化しておく動きに賛成です。順調に整備が進むといいですね。