今回は札幌の後半、再開発編です。今、札幌は都心を中心にいろいろな再開発が動き出そうとしています。特に札幌駅周辺の再開発には目を見張るものがあります。
これで当ブログの他都市シリーズがすべて揃いました。(今後もしかしたら高級ホテル進出特集で京都を取り上げるかもしれませんが・・・)
前半でもお伝えしたJRタワー。38階・173mで、横たわる巨大な低層部(ステラプレイス)を含めれば延床面積は27.6万平米にも及びます。
竣工は2003年です。京都駅ビルやセントラルタワーズの成功を見て着工された、日本各地で開発されているJRの巨大駅ビルの1つです。
このカラーリングといい星をモチーフとした大時計といい美しいデザインだと思います。北の大都会札幌としての風格が感じられますね。
少し離れて見ます。JRタワーが見える札幌駅からわずか数分のところに巨大な空き地があります。ここに新幹線駅と新駅ビルを建設予定です。
新駅ビルはJRタワーをはるかに凌駕する高さ250m、延床面積39.5万の規模です。(最初は255m、41.7万の予定でしたが若干縮小されました)
JR北海道はこれだけの巨大開発に乗り出すのはなぜか。それは鉄道事業の採算が極めて厳しいからです。JR北海道は札幌周辺でわずかに稼ぐくらいで、ローカル線はすべての線区で赤字となっています。
無理もありません。広大な北海道で札幌以外は人口密度が非常に低く、加えて雪による鉄道施設への大きな負荷、最近では無料の高速道路延伸で稼ぎ頭だった長距離特急も押されています。さらにインバウンドが消滅し、観光客に頼っていたエリアも絶望的に厳しさなりました。
そこで活路を見出したのが不動産です。大規模なオフィスをつくれば賃料で安定した収益が得られます。新幹線開業のタイミングに合わせて、収益の柱として札幌駅前の不動産開発をしない手はない、との判断だと思います。
商業施設エスタです。こちらも取り壊され、新ビルの敷地の一部になります。
新ビル完成は2029年予定。相当デカいビルを建てるので2025年くらいには着手しないと間に合わないでしょう。となると2023年くらいで営業終了かもしれません。
不安要素も残ります。これはコロナ前に発表されたものですが、コロナで大ダメージを受けた今のJR北海道がこれだけ投資する力があるか、という点が一番気になりますね。しかしこれができればインパクトは計り知れず、札幌駅周辺は大幅パワーアップします。今後に注目ですね。
こちらは西武百貨店(旧五番館)の跡地です。2009年に閉館、解体され、以降はヨドバシカメラが取得していましたが長らく動きはありませんでした。
ここもJRタワーがすぐ向こうに見える駅前一等地です。ここがようやく土地の高度利用に向けて始動しました。
ヨドバシ新ビルは低層部60m、高層部200m、延床21万の計画です。当初は240mの案が検討されていましたが、最終的に少し縮小した形に落ち着きました。
ヨドバシは大阪駅北に高層部がホテルとなっているリンクス梅田を完成させています。おそらくここも梅田のノウハウが生かされ、リンクスブランドになると思います。
中層部はオフィス、高層部はホテルです。手前の低層部をとればフロア構成は栄広場とよく似ています。
完成はこちらも2029年予定。札幌では新幹線開通の2029年をターゲットにしている物件が多いですね。
その他大通り、すすきの方面にかけて大きな物件もいくつかあります。狸小路の複合タワマンやHBC跡地のオフィス計画は100m超。すすきのラフィラ跡地の大型商業ビルも動き出しました。これから建設ラッシュが始まります。
その他完成済み物件をいくつか紹介します。札幌都心のオフィスビルは20階クラスの重厚なビルが多い印象です。例えばこちら、前回紹介した赤レンガの庭園から見える2つのビル。左は日本生命札幌ビルで23階・99.87m、ただし延床は10万近い重量級ビルです。
右は札幌三井JPビルで20階・99.95m、延床はこちらも7万に迫ります。当初は185mの予定だったのでそこは少し残念ですが、現在の赤レンガ前の広場を挟んで対峙する2つの重厚なビルの姿もなかなか風格があります。
札幌都心で最も新しいのは27階・124.25mのさっぽろ創生スクエアでしょう。写真の奥に札幌文化芸術劇場、札幌文化芸術交流センター、札幌市図書館などが存在するため、それらも合計した延床面積は13万を超えます。
余談ですが遠目で見るとなんか既視感がありました。アルペン丸の内タワーですね。
最後は駅の北側を見ておきましょう。
駅の北側は一部を除いてあまり発展していませんが、大きな再開発が動き出しています。ONE札幌ステーションタワーです。その名の通り駅から至近距離です。
クレーン2基が48階・175.2mのタワーマンションを組み上げていくためにせわしなく活動しています。JRタワーが173mなのでこのタワマンが完成したら道内一の座が移ります。
旅行編でも書きましたが写真が少し古いので現在はもう少し建設が進んでいるかと思います。
完成予想図です。コーナー部が曲線の形状をしています。右に見えるのはホテル棟です。
当初は51階のツインの計画でしたが、検討の末現在の規模の1棟案になりました。
最後に札幌の遠景を。前回紹介したモエレ沼公園からの景色です。
右の一番高いのがJRタワーです。都心に高層ビルが点在しています。先ほど紹介した再開発が完成するとこのスカイラインは大きく変わるでしょう。
札幌はこれまでも大きな変化を遂げてきましたが、これから新幹線開業までの10年弱は、過去にないくらいの大変貌の時代になると思います。北の大都会の躍進に注目ですね。
なお次回からは名古屋に戻ります。ナゴヤキャッスルの概要板が出たとのことなので早速取材し、近日中に記事化する予定です。
コメント
北海道札幌市にある再開発ビルでの計画ならいいけどそれはよいでしょう。