激変期の首都 空前のスケールで進む日八京再開発

今回からはおよそ1年半ぶりとなる東京編をお届けします。再開発の機運が高まるきっかけのひとつにオリンピックがありますが、東京の再開発はその後が本番と言っても過言ではありません。そのくらいオリンピック後に完成する大型プロジェクトが目白押しです。

前編となる今回は当ブログで初めて取り上げる日八京エリアです。これまで東京駅周辺で再開発が進められてきたのは主に大丸有エリアでした。皇居の堀に面して整然と立ち並ぶ超高層ビル群の景観は見事です。その一方、グランルーフがある八重洲側ではいくつか再開発はあるものの、低層雑居ビルが多くを占めていて、日本を代表するターミナル駅にしては貧弱な景観が広がっていました。

しかし今その八重洲を含めた日八京エリアの姿は一変しようとしています。250mクラスのビルが次々と建設予定であり、日本一高いビルも計画中。今回は空前のスケールで再開発が進む日八京エリアを徹底特集していきます。

まず八重洲口を出ると視界に飛び込んでくるのは広大な工事エリアです。以前は雑居ビルが並んでいましたが、およそ20棟のビルを集約化し、超高層ビルに建て替える「八重洲二丁目北地区再開発」が進んでいます。

取材時にはちょうどタワークレーンが登場し、地上の鉄骨の建方が始まったタイミングでした。これからぐんぐん鉄骨が成長し奥のビルが隠れていきます。

八重洲二丁目北地区再開発のパースです。三井不動産主導で45階・240mの超高層ビルが建設されます。延床面積は30万平米に迫ります。低層部には小学校、高層部にはブルガリホテルが入居予定。完成は2022年で、怒涛の日八京再開発のトップバッターを飾ります。

その南側は「八重洲二丁目中地区再開発」です。およそ2万平米の土地を一体的に開発し超高層ビルを建設します。写真に見えているビルは全て解体され1棟の巨大ビルに生まれ変わる予定です。

八重洲二丁目中地区再開発のパースです。三井不動産、ヒューリックなどが46階・240mの超高層ビルを計画しています。延床面積は北地区をさらに上回る驚異の41.8万平米。JRセントラルタワーズに匹敵します。

地下には東京駅から各方面に往来する大量の高速バスを捌くためのバスターミナルが設置されます。高層部にはオフィスの他に主に外国人向けサービスアパートメント施設が入居予定です。2024年完成予定。

八重洲通りを挟んで北地区の向かいでは「八重洲一丁目東地区再開発」が計画されています。現在は雑居ビルが並んでいますがそれらを集約し超高層ビルを建設します。

ただ、全部のビルを集約することは出来なかったようで、再開発に参画しないビルもちらほらあります。東京駅の超一等地でもこのような事例があることで再開発の難しさを実感します。

それでも一体化できる土地はそれなりに大きく、東京建物などは50階・250mの超高層ビルを計画しています。延床面積は22万平米です。完成は2025年予定です。

これら3棟のビルが完成すれば八重洲口の景観は革命的に変化します。雑居ビルエリアに250mクラス3棟誕生のインパクトは計り知れません。

次は日本橋です。日本橋と聞いて思い出す景色はやはりこちらではないでしょうか。

現在の日本橋の上空には、高度成長期に経済効率優先で工事が進められたのを物語る首都高が覆っています。この姿が景観的にどうなのかという議論は散々なされてきました。伝統ある橋を真っ暗にしてしまう醜い高架はけしからんとか、これはこれである意味日本的であり今さら金のかかる地下化など不要、などなどです。

個人的にはやはり陽の当たる、空の見える日本橋がいいとは思いますが、地下化にかかる費用は数千億のオーダーであり、簡単に出来るものではないよなあと思います。

そんな中日本橋を本拠地とする三井不動産は、日本橋周辺の再生計画に並々ならぬ想いを持っているようです。既にこのようなパースも出され、人々や船が青空の下で行き交う美しい日本橋本来の姿を復活させる計画が進行中です。

そのすぐ南側にある街区では再開発が進行中。現在あるビルを集約し超高層化を図る「日本橋一丁目中地区再開発」です。

規模は51階・287m、延床面積50万弱で、先ほどの八重洲の3つのビル群よりさらに一回り大きいビルとなります。日本橋ということで事業者はもちろん三井不動産。完成すれば同社のフラッグシップ的な存在になるでしょう。2026年予定です。

そこから2ブロック西側の街区では「八重洲一丁目北地区再開発」が進んでいます。写真に写っているビルを解体集約化し、超高層ビルを建設します。名前は先ほどの八重洲3ビルと似ていますがエリア的には日本橋に近い位置です。

八重洲一丁目北地区再開発のパースです。事業者は東京建物、東京ガス不動産。規模は45階・233mです。これまで紹介してきたビルに比べると細身のビルで、延床面積は18万平米程度です。

最後はその向かい側のプロジェクトをご覧いただきましょう。三菱地所が威信をかけて建設する「常盤橋地区再開発」です。正確には大丸有(大手町)に入りますが、線路より東側で日本橋に近いためここで紹介します。

常盤橋プロジェクトでは既存の複数棟ビルを2棟の超高層ビルに集約化します。まず敷地東側にA棟を建設し、次に西側のビルを解体し跡地にB棟を建設します。現在はA棟を建設している段階です。

現在の様子です。鉄骨がかなり組みあがってきました。A棟は40階・212mの規模です。三菱地所らしい重厚で渋めな雰囲気のカーテンウォールが設置されています。延床面積は14.8万と細身です。

低層部です。B棟と一体的な運用が出来る商業施設となる予定です。そのB棟が建設されるのが奥です。見えている朝日大手町ビルなどが解体され、跡地には日本一高い超高層ビルが建設されます!

こちらがパースです。他のビルが子供に見えてしまうほどの圧倒的高さ。規模は61階・390mで、あべのハルカスを抜き、森ビルの麻布台プロジェクトも抜き、文字通り日本一となります。

B棟の完成は2027年。リニア新幹線と並ぶ国家プロジェクトです。

いかがでしょうか。東京駅周辺では皇居側は開発が落ち着いてきましたが、八重洲を含む日八京では空前のスケールで再開発が動き出そうとしています。390mの常盤橋B棟が完成したら東京駅周辺は日本一の超高層ビル街となるでしょう。

次回は新スポット完成で賑わう渋谷の様子をお伝えします。

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コメント

  1. by岡崎っ子展 より:

    やっぱり東京は希望者が違うな~

  2. 日野 より:

    どれもすごいですがやはり一番は常盤橋の390メートルタワーです。このビルの延床面積は約490,000㎡で諸外国ならば390mよりもはるかに高いビルとして建設されますが、そうならずビルとしての使いやすさを重視し日本の超高層ビルはどうあるべきかを示してくれたものであると思います。今後日本においてこれを上回る計画はおそらく出てこないであろうから本ビルが日本の超高層ビルの集大成となってくれればと思います。