本町通沿い 旧東海銀行本店ビルと宝ビルの解体

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今回は本町通沿いで進む2つの解体工事を取り上げたいと思います。本町通は昔の名古屋城の中心に通ずる道で、南北の重要な軸としての役割を担ってきました。地下鉄が出来ると街の中心は駅周辺に移り、伏見と栄のちょうど中間になった本町は、今はそれほど賑わっていません。

しかし近年は本町通沿いでも再開発が相次いでいます。今年3月には広小路クロスタワーが開業、来年には栄タワーヒルズが完成予定です。

今回注目するのはその隣、旧東海銀行本店ビルです。このビルは2021年の完成を目指して、10階建てのオフィスビルに建て変わります。いよいよ解体が始まっています。

正直、今の計画では期待できません。これにはいくつかの理由があります。

新ビルは延床5万弱であることが判明しています。これは隣の広小路クロスタワーより大きい数字です。現在のビルも延床5万弱ですが、新ビルは階高が増すため高さは60m弱になる予定です。一方で階数はほとんど増えないので、この延床を消化するためには敷地目一杯に建てるしかありません。敷地目一杯に高さ60mの塊、かなり圧迫感のある建物になるのではないでしょうか。

延床面積を減らせばよさそうですが、オフィス需要が逼迫しているためそれはできません。そこで高層化を行います。高層ビルも圧迫感があるじゃないかという声も出てきそうですが、同じ延床面積なら高層化したほうが建築面積が減り、その分地上に広場空間を生み出すことができます。高さ60mの塊よりは圧迫感も減ることでしょう。

そういえばコメント欄で高層ビルは共用部が増えるから賃貸面積が減るという議論がありました。確かにそれは高層ビルのデメリットの1つであり、間違いありません。ただ、同じ延床面積ならそれほど影響はないと思われます。このくらいの規模ならレンタブル比70%は確保できるでしょう。もちろん50階にするなら話は別ですが。

次に新ビルは商業施設が入らない見通しとのことです。これもよくありません。せっかく広小路クロスタワーが完成し、この界隈も賑わいが生まれようとしているのに、商業施設なしではその流れを止めてしまうことになります。

先ほど述べた高層化という手段を使えば、空いたスペースに商業棟を建設(もちろんそれほど大規模なものではないが)して活用する方法も取れるはずです。

もう解体も始まっているので高層化は無いと思いますが、せめて商業施設を入れて賑わい創出に貢献して欲しいです。

もうひとつは宝第一ビルの解体です。先ほどの旧東海銀行本店ビルから100mほど南へ行ったところにあります。宝不動産は、宝第一ビル以外にも隣接する複数の低層雑居ビルを取得し、一体的に解体を進めています。

敷地面積は2500平米近くあります。本町が昔からの業務地域であったことを考えれば用途はオフィスが相応しいですが、近年の流れからマンション開発の可能性の方が高そうです。ちなみに看板には「解体及び舗装工事」とあるため、暫定的に駐車場になるようです。

本町通沿いの気になる再開発。今後も随時レポートしていきます。

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コメント

  1. まやの より:

    2,500㎡でマンション開発なら最低でも100m頑張って150mくらいの高さがほしいですね。

  2. ノボール より:

    旧東海銀行名古屋ビルについてですが、1階には貨幣資料館が赤塚から帰ってくることが決まっています。付随して小規模物販や飲食店が入居してくれればまあいいかなぁ、とも思います。
    それと、常設展スペースだけでなく、企画展スペースがある程度確保されてると嬉しいです。魅力的な企画展は、ただの商業施設よりも集客力がありますし、人の流れを生む装置になります。

    今回、三菱UFJ銀行がワンフロア面積を重視した理由は存じ上げません。
    一方で、近年は本社ビルなどでワンフロア面積を重視する潮流があります。フリーアドレス化やセクショナリズム解消を目的に、上下の移動を少なくしてワンフロア面積を確保するのです。
    かつてモノづくり系企業で持て囃された『大部屋方式』に似たところもあり、ソニー本社なども20階建てと100mに満たないながらも、延床16万㎡とワンフロア面積を重視した設計です。

    複数テナントが入居することが前提のテナントビルの場合、ワンフロア面積が狭すぎると入居テナントはフロアをまとめられず面倒です。一方で、広すぎるとワンフロアを分割する必要性に迫られます。共用部も文字通り共有する形になり、情報管理などの面ではやや不利です。
    ところが本社ビルの場合、分割ということは基本的には考えなくていい。さらに、先に述べた目的を達成するには、大部屋の方が適している。金融機関は、モノづくり企業と同様に、過去にない大変革が押し寄せており、機能性を重視するビルを建設するのは理解できます。

    ただし、仰る通り建蔽率は目いっぱい使いますので、圧迫感は出てくるでしょう。特に、広小路通りや錦通り沿いのビルは以外の高度化が進んでおらず、百尺規制や45m規制に沿ったものが多いだけに目立つでしょうね。
    テナントビルにする予定で建てた広小路クロスタワーがあのフロア面積で、自分たちが今後も使う予定で建てるビルがこのフロア面積、というのはなかなか面白いですね。

    • ノボール より:

      誤 以外の高度化が進んでおらず、
      正 意外と高度利用が進んでおらず

      それと、宝不動産についてはまあ、マンションでしょうねぇ。
      現状、オフィス市況はひっ迫していますが、中日ビルをはじめとして大規模ビルの計画が顕在化してきました。
      また、栄地区や名駅地区のみならず、伏見・丸の内地区も通沿いのオフィス適地に動きが出てきそうな状況です。
      そうなると、通りから奥まったこの立地では、自分たちの勝手知ったる分譲マンションの方がうまみがありそうです。時流に乗ってホテルや賃貸ってのも面白そうですね。

      敷地面積だけで見れば、特定街区の都市計画提案の要件を満たします。が、ただの分譲マンションにするなら都市計画提案ほどの煩雑さを必要としない総合設計制度でやるでしょう。
      基準容積率が600%ですので、緩和されて700%程度でしょうか。

      2500㎡×7(00%)×1.3~4(容積対象外)=約24000㎡

      そこそこの規模のは建ちそうな感じです。

  3. 鷲津砦 より:

    大銀行の重要拠点ということで、単純にセキュリティ上の面倒を避けて、金融業務のほぼ専用棟にしたのかなと思っておりました
    大阪の新ビルも洒落っ気は最小限ですし。
    でも仰る通り、高層化して敷地内に別棟を設ける手もありますね

    1階に出来る貨幣資料館の新ミュージアムは広小路通り側から入れる様で、通りにある程度の賑わいは生まれそうです

    貨幣オンリーでなく浮世絵等の展示もありますし
    これで、建て替わった御園座や栄タワーヒルズの刀剣ミュージアムなど、和の要素が強い文化施設がそう遠くない範囲に集まります

    栄、大須、白川公園も近く観光客が回遊可能な圏域ですし、求心力のあるミュージアムに仕上げて頂けるのなら、これはこれで。

  4. より:

    宝第一ビル跡地とその周辺ですが、解体後は宝パーキングとして整備され運用されていました。計画が固まるまでの暫定措置かと思われていましたが、このほど通りかかったところいずみパーキングに変わっていました。
    土地を売却等したのでしょうか?
    そこそこまとまった土地ですので有効利用されることを願いたいです。