今回は、名古屋市の中でも大きなプロジェクトながら、当ブログで今まであまり扱ってこなかった名古屋城木造化を取り上げたいと思います。なぜあまり扱ってこなかったかというと、後でも述べますが、私はこれに関して賛成とか反対とか明確な意見をあまり持っていないからです。
ご存知の通り、名古屋城木造化計画は河村たかし市長の肝いりの政策です。予定では今年の5月7日から入場規制を始め、その後工事を実施し2022年度の完成を目指します。
昨日、気になるニュースが入ってきました。朝日新聞によると、市は今年の10月~12月頃のうちのどこかで名古屋城の無料開放を実施する予定とのことです。入場規制による観光客減少の対策だそうです。
また、忠実な復元を目指す市が一時は設置しないと宣言していたエレベーターについては、3月末までに結論を出す予定だったのを5月末までに先送りするとのことです。理由は有識者や障害者団体の意見をさらに聞くためだとしています。
木造化に関しては賛成派の方、反対派の方それぞれいると思います。私自身は、木造化に対して中立です。既にあるものを木造で建て直すというのは、個人的にはそんなにワクワクするプロジェクトではありません。金もかかるし、最優先でやることではないような気がします。しかし城は名古屋の街のシンボルであり、それを木造化して将来に誇れる観光資源にしようという気も分かります。なので市民がそれを望めば、建て替えてもいいのかなという気持ちです。
エレベーターについては、これは難しいところですが、私は建て替えるならば設置すべきでないと考えます。そもそもこの木造化は、忠実な復元を目指すために行われるものだから(昔の技術と現代の技術は違うので完璧な復元は不可能であることは承知の上で)です。ではどうしてもエレベーターを設置してほしいという声が大きかった場合はどうすればいいでしょう?私は、そのときは木造化自体を諦めるのも一つの手だと思っています。みなさんはどうでしょうか?
腑に落ちないのは工事の時期です。今の計画では2022年度の完成を目指しているため、2020年東京オリンピックの時には工事真っ最中です。一番観光客が来る時期に天守閣が解体され、来場者は工事中の状態しか見られません。
また今年は金シャチ横丁開業や本丸御殿全面公開といった、名古屋城の観光価値を大きく飛躍されるイベントが控えています。5月に閉鎖ではタイミングが悪すぎます。せっかく新施設ができるのに相乗効果が全く期待できません。
大きなプロジェクトだけに拙速に進めてはなりません。そもそも本当に木造化が必要か、費用対効果は大丈夫か、エレベーターをどうするか、などじっくり吟味する必要があるでしょう。そして観光への影響を最小化するためにも、東京オリンピック後に着工、アジア大会前に完成という風にスケジュールを組みなおしてはどうでしょうか。木造建て替えは、そんなに急ぐことではないはずです。