解体が進む千種ビル群跡地の再開発が190m級、延床10万級の巨大タワマンになることが判明しました。すごいニュースが入ってきました。
今のところこれを報じているのは建通新聞のみですが、いずれ他の報道機関からもニュースになるでしょう。今回は建通新聞の報道から詳細や推察を記事化します。

前回からの3か月ぶりの取材です。
まずは千種ビル群の経緯を簡単に振り返ります。もともと住友不動産が所有していたビル数棟を積水ハウスが取得。老朽化を理由に解体が進んでいました。積水は跡地をタワマンを軸とする計画を考案していました。
しかし千種ビル群のメインとなるニュータワービルでテナントの退去問題が発生し、解体が想定通りに進まない事態となりました。そのため積水はニュータワービル以外の敷地を利用し、先行してタワマン計画を立案。41階・154.85mの規模でした。
そのまま計画が進むかと思いきや、躯体工事は始まりませんでした。少し心配しましたが、結果的にはテナント退去訴訟が解決し、ニュータワービルの解体が進んだため、敷地をすべて一体で開発することが可能になったことによる計画変更でした。
まずは現在の千種ビル群の様子です。ニュータワービルの高さがだいぶ低くなってきています。今年中にはほとんど姿を消すものと思われます。
以前はこのニュータワービル以外の敷地を利用してタワマンを建てる計画でした。そのときの延床面積は5万弱です。おそらくニュータワービルが解体完了したらそこに同じ規模のものをもうひとつ建ててツインにする計画だったのでしょう。つまり5万+5万の計画をやめて一棟の10万に変更したと思われます。
私はこれでいいと思います。ツインタワマンでもいいですが、190m級10万級というのは今まで名古屋になく、絶大な大きなインパクトをもたらします。名古屋のタワマンは150~160m級がトップクラス(御園座、池下、熱田、城北、名駅南)でした。従来の計画ではそこに収まってしまいますが、190mはわけが違います。不動の名古屋No.1タワマンになるでしょう。
階数は不明ですが、50階は確実でしょう。もしかしたらマリオットの53階を抜いて54階や55階もありえるかもしれません。その方がインパクトがあり、積水もそれを狙ってくる可能性があります。(そうでなくても50階のタワマンは唯一無二であり十分インパクトはあると思いますが)
低層部には商業施設も入るようです。そんなに大きい施設ではないと思いますが、これだけ大きなタワマンともあれば、日常使いの商業施設は必須でしょう。おそらく総戸数は700~800戸程度ではないかと予想します。
ここの敷地面積は1万平米程度。容積率は400%/600%なので緩和制度を受ける手続きを行う可能性があります。
また、環境アセスメントの対象になります。都心地域なら免除できますがここは対象です。中日ビル、栄広場、名鉄とアセスなしが続いていましたが、まさかここでアセス対象が出てくるとは思いませんでした。
順調にいけばそう遠くない時期に「大規模建築物の建築」という内容でアセス書類の縦覧が始まると思われます。この手続きにはだいたい2年以上は必要なので、着工は2028年以降でしょう。そしてこの規模だと建設にも時間がかかり、完成は2032年以降と推察されます。
適当にスケジュールを予想してみましたが、ツイッターなどで出回っていた「完成は8年後」という情報とだいたい一致します。奇しくも名鉄再開発も完成が見えてきていることです。どうやら2033年前後は大規模物件の完成ラッシュになりそうです。
それにしても積水はすごいと思います。都心も近郊グランドメゾンのタワマンが建ちまくっていますし、さらに攻勢をかけるとは。財閥系でもできない投資をガンガンやってのけるのがすごいです。
ツインをやめて190mの一棟勝負にしたのもすごいです。石橋を叩いて渡るなら、ニュータワービルの解体とは関係なくとりあえず先行で一棟建てておき、景気の動向を見ながらもう一棟を建てるのか、縮小して低層にするのかゆっくり判断しながら進めることもできたはずです。一棟勝負はその退路を断つことになります。
それだけ強気に出たのはやはりこの立地なら行けるという判断でしょうか。東山線と中央線の交点であり、駅徒歩1分。名駅や栄などの都心を除けば立地としては最強です。ポテンシャルは高いでしょう。
そして千種で190m級いけるなら、アスナル金山の再整備はもっといけるのではと思ってしまいます。敷地面積や駅からの距離はここと同じくらいの条件で、路線数というかターミナル性は金山が大幅に上です。むろん高さだけでなく施設の質も重視すべき内容ですが、千種でこの計画が成功すれば他の駅前開発にもよい影響を与えることができるのではと思います。
いろいろな意味で楽しみになってきたこの計画。今後の情報に期待したいですね。