この記事は九州編の5番目、福岡の再開発の記事です。暇な方は九州旅行編や建築探訪の記事もご覧ください。
現在福岡では再開発が盛んになっています。ということで他都市探訪シリーズ第4弾、福岡編をお届けします。
福岡の2大繁華街は博多と天神です。これはちょうど名駅と栄に相当します。博多は新幹線も全停する九州一の大ターミナルです。天神は私鉄(西鉄)のターミナルで、古くからの中心市街地です。
そして都心部ではJRの巨大駅ビル建設による中心市街地との流通競争が起きています。札幌や京都などこれは全国共通のパターンです。それではまずはその駅ビルを見てみましょう。
表口(博多口)にあるJR博多シティです。デザインが非常に洗練されています。九州一の大都会としての貫禄や風格が感じられます。ビル内には東急ハンズ、阪急百貨店、映画館、飲食店街などが入っていて「シティ」と称するように駅ビルが一つの街を成しています。
この駅ビルが福岡の商圏に与えた影響は絶大でした。その立地のよさから北九州や熊本から訪れる客も大きく増えました。さらに天神との流通競争も一層激化しました。
次は隣にあるKITTE博多(JRJP博多ビル)です。KITTE名古屋と同じような日本郵便が手がける商業施設です。各テナントとして丸井が出店しています。ガラス張りの美しいビルですね。
これらのビルはただのターミナル駅だった博多を天神と互角の繁華街へと押し上げました。今では博多の求心力は相当なものです。
これに続けと言わんばかりに、博多ではさらなる再開発計画が進行中です。先ほどと反対側(筑紫口)では近鉄による複合ビルが建設中です。
引用近畿グループプレスリリース(PDFファイル)
完成予想図です。ビルの上のほうにあるのは滝です。かなり挑戦的な仕掛けで面白いと思います。今は裏口の感が強い筑紫口ですが、新ビルが完成すると都会的な景色に様変わりするかもしれません。
さて、ここまで見てきて「ビルは都会的だけど高層ビルがないのはなぜ?」と思う方がいるかもしれません。ターミナル駅やその周辺のビルは高層化するのが一般的です。しかし博多はそうではありません。
実はこれは航空法によるものです。福岡は空港が近いため都心部に高層ビルが建てられません。空港の抜群の利便性と引き換えに福岡は都心部の高層ビル建設が大きく制限されているのです。(再開発ファンの方は常識ですね)
しかしこの規制は大幅に緩和されることになりました。国家戦略特区の指定により天神エリアでの高さ制限が大幅緩和、最大115mまで建設できるようになったのです。
天神エリアでは国家戦略特区を利用したプロジェクトが動き出しています。こちらの大名小跡地には24階・110mの複合ビルが建設されます。
福岡の都心部にはなかった画期的な高さです。このプロジェクトは天神地区に絶大なインパクトを与えることになるでしょう。
その理由の一つが最高級ホテル、ザ・リッツカールトンの進出決定です。東京、大阪に次ぐ日本の3号店にこの地を選んだという事実は、福岡が九州最大の都市というだけでなくアジアの玄関口として非常にポテンシャルが高いことを物語っています。
高級ホテルの充実度は都市にとって重要な指標です。この点で名古屋は大きく遅れをとっていると感じます。外資系高級ホテルの誘致は名古屋の大きな課題です。
他にも天神ビジネスセンタービルの計画があります。こちらは複数のビルを一体開発し、大型ビルを建設するプロジェクトです。現在は既存建物の解体中です。
完成予想図です。高さ制限の緩和によりさらに規模拡大予定という情報もあります。
最近は天神コアの建て替えが明らかになりました。このように天神では次々と再開発計画が進んでいます。この背景には行政が推し進める「天神ビッグバン」プロジェクトがあります。これは、福岡をさらに国際競争力のある都市へ進化させるために、天神エリアの老朽化した建物の建て替えを誘導するというものです。
例えば、優れた意匠の建物には容積率緩和のボーナス(天神BBB・ビッグバンボーナス)をつけたり、街区一体の建て替えを誘導したり、などがあります。行政はかなり本腰を入れた取り組みをしています。
そして先述の高さ制限の緩和。これも市長が国と交渉して国家戦略特区を勝ち取って実現したものです。福岡は未来を見据えて本気のまちづくりをしています。
交通インフラの整備も進んでいます。地下鉄七隈線は天神と郊外を結ぶ新しい地下鉄です。しかし終着駅が天神で、ターミナルである博多まで接続していないため、利便性がいまいちでした。七隈線延伸事業はこれを博多まで伸ばし、利用者増と利便性向上を狙う計画です。
これで福岡は、博多と天神が2つの地下鉄(空港線・七隈線)で結ばれるようになります。開業は2022年の予定です。当初は2020年の予定でしたが陥没事故が発生、少し遅れたようです。
開発は都心部以外でも進んでいます。
西新では高層マンション計画が進んでいます。ブリリアタワー西新(40階・137m)はその名の通り東京建物が進めるプロジェクトです。
ここは一風変わった手法がとられています。まず敷地内のファッションビル「プラリバ」を減築、一部は完全に解体します。これによって商業施設の床面積を減らします。その後解体した跡地にタワーマンションを建設します。
プラリバは営業不振と老朽化が長年の問題でした。完全に閉店することも検討されたようですが、存続を望む住民が多かったことから、商業施設を適正規模に縮小し、代わりにタワーマンションを建設する現在の案が採られたようです。東京建物は今後の再開発の手法として一つのモデルケースにするようです。
完成パースです。西新は都心から少し離れているので高さ制限は緩めです。
他にもアイランドシティなどで再開発がどんどん進んでいるようです。今回は時間の都合で行けませんでしたが、いつか取材したいと思います。
おまけです。今回の旅行で訪れた長崎でも再開発計画があります。
先日発表されたこの計画は、タワーマンション、高級ホテル、スタジアムを併設した一大プロジェクトです。これくらいの規模の地方都市では考えられないような大開発です。しかし長崎は旅行編でもお伝えした通りさまざまな観光名所があり、インバウンドも手伝って勢いに乗っています。今後、新幹線の開業というさらなる追い風もあるので、長崎は有望な投資先として期待されているのでしょう。
この他、熊本では延べ10万クラスの巨大駅ビル、鹿児島ではシェラトンホテルの入る複合ビルが計画されています。九州では福岡のみならず各都市が切磋琢磨して発展する様子が伺えます。
いかがでしょうか。福岡は一地方都市からアジアのリーダー都市への脱皮を目指しています。今の勢いで力を尽くせば、それが現実になるときが来るかもしれません。私は実際に街を歩いて、魅力向上に努める福岡の気概を感じました。そして将来が楽しみだな、と他都市のことながら思いました。
コメント
福岡は朝鮮から領土を守るため政府が人集めるために色々してるって話ですけど、万が一何かあったら政府は国民を騙したような事をして福岡に人集め犠牲にして責任取れるんですかねぇ
まあ政府は知らぬ存ぜぬ決め込むでしょうけど。
大阪も福岡も市長が主導し行政が旗振り役となって街開発を行なっていますね。上記以外にも三菱地所のMarkIsやYahooドーム拡張再開発等もあり一層、魅力ある街となるでしょう。名古屋にも中日ビルや興和再開発、名鉄再開発、キャッスルホテル建替え、駅西・則武エリア再開発、ジブリパーク新規開発、日生栄ビル再開発、久屋大通り公園再開発等、大小含めて多々再開発案件がありますがどれも今一つ、スピード感がなく具体性もありません。特に名古屋市内の案件は旗振り役が不在で、名古屋市長といえば名古屋城以外は我関せずと思えるほど。丸栄が閉館となった一因は当初の首脳陣が自社の明確なブランディングすら貧弱であるにも関わらず、東西の資本を受け入れず、時代の流れに乗り遅れた末の結果だと思います。水面下で検討されている再開発案も含めて、これから徐々に発表される案件が魅力あるものである事を期待したいですね。
名古屋はこれから広小路界隈が面白くなるかも。中日ビルや日生や丸栄の再開発があり、明治ビル廻り再開発もあるでしょう。出来れば、塩漬けになってる三越向かえの松坂屋の土地や大津通リ角地のスカイルを再開発しより街ブラしたくなるようにして欲しいものです。特にスカイルは渋谷のヒカリエやストリームのような建物が欲しいですね。
名古屋は東京志向が強いですが、これだけ近くにある大阪資本が参入していないのも気になるところです。住友不動産や阪急・阪神グループ等です。まだまだよそ者も受け入れようとしない古臭い習慣や風習がこびり付いているのでしょうか。東京と大阪という二大都市の間という立地だけに甘んじているのではなく、それをもっと貪欲に利点を受け入れ、吸い取るくらいの勢いや自己発信が欲しいものです。もっと同業種の競争や新規参入しやすい環境や施策を打ち、街の新陳代謝を活性化するべきです。
筑紫口の近鉄が手掛け都ホテルが入る複合施設はいい感じですね。滝が流れているビルなんて話題性あると思います。他の複合ビルのデザインも洗練され都会的です。名古屋には無いデザインです。モード学園のビルは奇抜でしたが後はありきたりのデザインです。洗練されたビルには話題性もあり、テナントの店舗進出意欲も必然的に高まります。又、栄の日生栄やスカイル(建替希望)は、敷地面積的にもデザイン的にも東急プラザのようなデザインの複合施設が出来るといいのではと思います。
前の中日新聞で「市が旗振りをすれば民間はついてきてくれるのか」という記事が掲載されていました。全く官らしい意見です。逆を言えば民間がついてきてくれないなら何もしないという事?市行政の競争心の無いお役所発想と判断行動が都市間競争から著しく遅延を発生させ、民間投資をも足踏みさせている事を気付くべきです。容積率緩和でさえ到底、先を見越した計画性のある判断とは思えない遅さ。このままではリニア開通しても東京に吸い取られるだけで、大阪開通したら益々、影が薄れ福岡や札幌等の地方都市と何ら変わらない位置づけになると思います。
福岡に新たな案件が出てきましたね。青果市場跡地の再開発事業者に、三井不動産(代表)、九州電力、西日本鉄道で構成する企業グループにて、ららぽーとを核とする大型複合施設を2021年度末ごろに全面開業予定。核テナントとしてキッザニアを誘致するみたいです。大きなプロジェクトもないのによく次から次へと再開発案件が出てくるなと感心します。名古屋も案件はあるが、詳細がなかなか表面化しないですね。
福岡は朝鮮から領土を守る?って何の話をしてるんですか?
非現実主義者なのかもしれませんがここ大丈夫ですか?
こういうタイプは人に信じてもらえないほど更に拗らせていくので触れない方がいいですよ。
一番上のコメント意味不明…
自分は福岡派(名古屋は縁がない人、画像検索で飛んできた)ですが、福岡は福岡。日本を守る為のものではないです。
福岡の開発は劇的に進化しています、一番大事なことは福岡空港を2倍にすることにより更に日本でも有数の巨大都市となるでしょう
福岡県が大きく成る為には、隣接する県山口県、熊本県、大分県、佐賀県も同時に進化開発する事により、アジアの中心になり得る、福岡県の隣接する県とも話し合い素晴らしいすごしやすい、交通の便、ウキウキする楽しさ、隣接県の特長を生かしたアピールポイントを最低2個は考えて欲しい、お互いに発信して共に世界のマーケットとして確立して頂きたい
中部ではやはり名古屋が順調に力を伸ばし、近畿は衰退ぎみだったが大阪が復活してきている。但し、兵庫、京都で人口減が続いるので気になるところ。九州では福岡市に活力があるが、人口は福岡県で微増、残りの県では急速に人口減少中。福岡や周辺県が連携をとって景気浮上が出来るようにしていけばよいのでは。例えば、長崎のハウステンボスなんかは博多から特急ルート、長崎への空路を活用して北部九州や首都圏などからもアクセス出来るし、経営を変えることで今や黒字転換して地域経済を牽引してるからやり方を工夫すれば活力ある地元を作れる。
三大都市圏との圧倒的な経済格差がある以上は九州地方の人口減少は避けることができません。九州の若者に貧しい地域で貧しい生活を続けることを強制することは出来ないのですから。また福岡市に活力があるとは言いますが、福岡市は消費に特化した街です。東名阪で創造された製品サービスを九州地方で効率的に売りさばくためのいわば植民市という位置づけが正しい見方ではないでしょうか。人口が増えているのは単に九州各地から消費機会を求めて消費者が集まっているからだと考察します。福岡市の消費施設等が年々充実していくにつれて九州他都市との消費機会の格差が拡がっているのです。そのため製品サービスの消費を効率的に行い少しでも生活を豊かにしたい若者たちが九州各地から福岡市に押し寄せるのは自然な流れです。効率的な消費活動の実現という面で生産者側と消費者側のニーズのマッチも見受けられますね。一方で優秀な人材は消費機能しかない福岡ではなく生産機能も有する三大都市圏へとより高い賃金を求めて移動してしまいます。しかし皆が皆そのように優秀ではありません。特に教育水準が低い九州地方では高い生産性を有さない人材(=単なる消費者)の割合が多い。そのため生産機能こそ欠落しているものの消費機能に優れた福岡市に多くの九州人が吸い寄せられているのです。人が多く消費機能が充実した都市は表面上は活気があるように見えますが現実は厳しいものです。自らの力で製品サービスを開発し利益を得る能力が欠落している以上は福岡も含め九州地方はお先真っ暗としか言いようがありません。因みに例として挙げておられるハウステンボスは福岡市には無い特殊な消費施設なので辛うじて上手くいっていたのでしょう。しかしHISは九州の資本ではありません。地元資本でやっていたころは赤字垂れ流しでしたがHISの改革により黒字化を実現したという経緯もあります。この一例だけでも十分お察しいただけるのではないでしょうか?所詮、九州というのは大都市圏の植民地なのです。