中日新聞は、アスナル金山が2028年2月までに閉鎖する予定と報じました。アスナルの具体的なスケジュールに言及があったのは初めてです。今回はアスナル再開発について詳細に検討していきましょう。
アスナルはもともと暫定施設として建設されました。当初2020年閉鎖の予定でしたが8年間延長。2028年までの契約となりました。あと3年以内に閉鎖することになります。
跡地は複合施設を建設する予定です。暫定ではなく本設の施設として利用されることになります。これは以前から言われていた内容の通りです。近くに市民会館があることなどから音楽や芸術をコンセプトに一帯の再整備を進める方針です。
名駅や栄とは違った魅力を出していく必要があるのでいい方向性だと思います。金山が第3極として盛り上がっていくことになれば、名古屋そのものが盛り上がっていくことにつながるでしょう。
ではその後継施設はどんなものになるのでしょうか。市は最近金山の整備を頑張ろうとしていろいろ調整してきたようで、徐々に計画が固まりつつあります。それを紐解いていきます。
まず市民会館との一体整備があるので、その間に建っている金山総合ビルの解体撤去が大きな目玉となります。このオフィスとしての機能はアスナル跡地複合ビルに入る予定です。1979年のビルなので築半世紀くらいで取り壊しです。規模は10階建てで延床面積2.4万平米と割とボリュームがあります。新ビルは倍増させて5万くらい行ってもいいと思います。
市民会館がらみでいくと市が建設予定の3つのホールのうち、第3ホールは新ビルに入居する予定です。主舞台は間口15m程度、奥行は15m程度、各客席階に十分な広さのホワイエを整備するなどのスペックが決められています。延床面積は9000平米でほぼ確定となっています。
低層部は商業施設。今のアスナルは1.5万くらいあるのでほぼ据え置きで考えます。その他タクシーや一般車などの低層部に入ればもう少し面積が必要になってくるでしょう。バスターミナルは建物の外になります。
他には駅前立地という価値を最大限とするためさまざまな機能の導入が予定されています。市の資料によれば宿泊、住宅、教育、公共機能などです。やはり事前に言われていたように宿泊は入るでしょう。上層部に入れて高級ホテル誘致という線があります。立地的にも狙っていくべきです。これで延床2万くらい必要です。
教育や公共機能を入れるのもいいですね。オフィスワーカーのためにビル内に保育園を入居させるのも一手かと思います。住宅はあまり必要ないと考えます。
他にも機械室などの面積が必要なので合計の延床は12万くらいと予想しています。必要な機能を割り振って冷静に試算してみると上記のような感じになります。
敷地面積から考えても納得感があります。ここの敷地は1.2万平米くらいです。容積率は800%なので、対象面積はぎりぎり10万切りくらいで計算が合います。
高さは160mくらいでしょうか。こうしてみると中日ビルと同じくらいの規模感です。ただし中日ビルが敷地いっぱいいっぱいに建っているのに対し、アスナルは敷地に余裕があるので、今のようなボイド空間が低層部に配置されると思われます。また、金山南ビルより高い部分数フロアを眺望の良い高級ホテルにする点からも、160mくらいが妥当です。
地下空間の拡大も行われるようです。感覚的には意外ですが、アスナルは地下鉄の駅部分と全く干渉していません。そのため地下も問題なく工事ができます。
現在地上になっている駐車場は他の大規模再開発同様地下化すべきでしょう。そこで余った部分を商業にしたり広場にすればそれこそ市の目指しているウォーカブルな空間が出来上がると思います。
できれば金山駅からアスナル再開発ビルにアクセスしやすい動線もつくってほしいと思います。今はアスナルへつながるルートは知る人ぞ知る隠し通路みたいな感じです。理想は地下鉄からアスナルへ向かうエスカレーターを上がると大屋根のかかった新施設のボイド空間に出るみたいな感じでしょうか。
スケジュールとしてはその後、基本計画を検討し、再整備計画を検討、都市計画決定は2030年頃を目指しています。事業着手は2032年の予定です。その後2035年の完了予定です。事業期間は3年ほどで普通ですが、埋蔵文化財の調査のためか、着手までが結構長くなっています。
先日続報でアスナル閉鎖の時期を延期するかもというニュースが流れてきました。確かに2028年に閉鎖で2032年着手では4年間も時間があります。ここが空白になってしまうのはよくないので、着手近くまで閉鎖を遅らせる計画かもしれません。ただこれはちょっとおかしい気がします。当たり前ですが埋蔵文化財は建物がある状態では調査できません。着手して解体してその後文化財調査となると、2035年の完成が危うくなります。
着手が新築着工のことを指しているのであればわかります。2028年に閉鎖、その後解体して埋設物調査に少し時間がかかり、2032年新築着工なら納得がいきます。
個人的には環境アセスメントの時間を見込んでいるのではないかと勝手に思っています。アセスは時間がかかります。必要面積は5万は超えるので、高さを99mにすれば回避できますが、さすがにそれはないのではと考えています。
もう少し直近のスケジュールを見てみると、3月下旬以降に計画が発表されます。上記が気の長いスキームだったので、計画発表もだいぶ先だろうと思っていましたが、気づけばもうすぐそこまで来ています。名鉄もありますし、急にそわそわしてきました。
ただし今回発表されるのはエスキス程度のもののようです。なので詳細なパースは出てきませんが、どんな提案か、どんな機能が導入されるか、なんとなくの高さ感くらいはつかめるものと思われます。
最優秀提案者と次点提案者については事業者の名前が公表されることになっています。ただし次点以降の提案内容は公表されるかどうかわかりません。
アスナル金山はいよいよビジョンが見え始めた感じがあります。時間はかかっていますが調整の結果いいものになってきていると思うので期待したいです。これ以上の遅延はないようにしてほしいところです。