Jフロント 松坂屋名古屋店の再開発に着手！

大きなニュースが入ってきました。7月9日、日経新聞はJフロントリテイリングが松坂屋名古屋店の再開発に着手すると報じました。Jフロントは不動産事業へのシフトを進めており、多くの不動産を保有する名古屋で再開発を加速させたい考えです。

松坂屋名古屋店は、栄地区最大の百貨店であり、コロナ前は年間1000億円超を売り上げているJフロントの旗艦店です。延床面積は86758平米（＝ハローナゴヤ）もあります。

建物は北館、本館、南館の3棟構成です。報道によれば、まずは同グループのパルコと近い南館から再開発したいとしています。オフィスやホテル、住居などへの転用も示唆しています。

Jフロントは、大阪の大丸心斎橋の再開発で、一部施設を改装して心斎橋パルコをオープンさせています。社長は「パルコとは相互に良い関係ができることが分かった。まさに名古屋はそういう関係が考えられる」と述べています。

おそらく百貨店と専門店のパルコで相乗効果が生み出せるということでしょう。実は名古屋のパルコは全国の店舗の中でダントツの売上を誇ります。再開発によって大きな相乗効果を生めるのではないかと思います。

さらに社長は「将来は建て替えなければならない」とも語りました。いずれ再開発が来るのは予想されていましたが、今回の報道でそう遠くない将来の建て替えが堅くなったと言えます。

ここで各建物の竣工年を見てみましょう。まず最初に着手すると言われた南館は1991年完成、2003年増築。本館は1953年完成、1964年と1971年増築。北館は1972年完成です。これを踏まえると、築年月は20～30年程度の南館は建て替えというよりリニューアルでしょうか。それが上記の「オフィスやホテル、住居などへの転用」を指すのかもしれません。

一方本館と北館は半世紀選手です。こちらは建て替えと考えていいと思います。特に本館はほぼ正方形に近い広い敷地です。自由度が高くいろいろな可能性が考えられます。Jフロントは営業利益に占める小売の割合を下げて不動産の割合を上げる方針を掲げているため、オフィスなども含めた複合ビル化するのは間違いないと思います。

時期は、日経新聞記事内では2020年代後半とありました。おそらくこれは南館のことだと思います。建て替えと思われる本館と北館はもう少し後になると思われます。2020年代後半の南館リニューアルが終わったあたりで発表、その後工事着手し、2035年くらいに完成でしょうか。

その頃には南館も老朽化しており、パルコなども合わせて連鎖的に建て替えが行われるかもしれません。また個人的には4～6階に入居しているヨドバシカメラの動向も気になります。同社は先日詳細が出てきた札幌の高層ビルも手掛ける予定で、流通大手ながらデベロッパーとしての性格も帯びてきています。不動産の割合を高めたいJフロントの思惑と一致して、再開発を加速させるということもありえると思います。

それにしてもJフロントは再開発に積極的ですね。2026年に栄広場ビルの商業施設が完成するので当面はそちらに注力で、松坂屋が動き出すのはその後だと思っていましたが、矢継ぎ早に計画が動き出したのは嬉しい誤算です。

先日はスカイルも再開発検討という話題が出ていましたし、大物となる松坂屋も始動して、本当に栄が大きく変わっていくことを強く実感します。今後に期待したいですね。

名古屋市内主要建築物の耐震診断に関するコメントですが、読者の方からのご指摘を受けたため、念の為削除させていただきました。