前回からおよそ1年半ぶりにお届けしている東京編。再開発の機運が高まるきっかけのひとつにオリンピックがありますが、東京の再開発はその後が本番と言っても過言ではありません。そのくらいオリンピック後に完成する大型プロジェクトが目白押しです。
後編となる今回は渋谷です。当ブログで特集したのは2年半ほど前でした。当時は渋谷ストリームが完成間近、渋谷スクランブルスクエアが建設真っ盛りといった状況で、セルリアン、ヒカリエくらいしかなかった渋谷の超高層化が一気に進んでいたタイミングでした。
昨年は建設が進んでいた各ビルの開業が相次ぎ、渋谷フクラス、渋谷パルコ、渋谷ソラスタなど主要商業施設が出揃った形です。そして主役となる渋谷スクランブルスクエアも開業。目玉となるオープンエア型の展望台には多くの人が詰め掛けました。
渋谷の変革は足元でも進んでいます。歩道橋のリニューアルや地下鉄銀座線の移設など工事は断続的に行われます。さらに次のメイン超高層である桜丘地区再開発の基礎工事も進行中。今回はそんな渋谷の新名所レポートとそこからの景色、そしてまだまだ変わり続ける界隈の様子をお伝えします。
渋谷スクランブルスクエアは東急が威信をかけて建設する大プロジェクトで、メインとなる東棟は47階・229.71mの高さを誇ります。手前の東横店は近く営業を終了し、2027年を目標に中央棟や西棟が建設されます。
個人的な意見ですが、このビルは高さもあって、縦横比のバランスもいい感じ、デザインも洗練されていて、かなり好みの超高層ビルですね。
展望台へは14階のスカイロビーから向かいます。チケットを購入した後はエレベーターで45階に到着。エスカレーターで46階へと上り、ここでは屋内からの景色や土産物ショップを楽しめます。屋上に出るにはコインロッカーに全て荷物を預ける必要があります。カメラやスマホなど最小限の荷物を持って、屋外に出ます。
おお!なんという開放感!私は高いところが好きでいろいろな展望台に行っていますが、こんな感覚は初めてです。このエスカレーターを上れば正真正銘の屋上(47階)です。
すばらしいです。真上を見上げると遮るものは何もなく、ただ青い空だけが広がります。ヘリポートの部分は芝生になっていて寝転がることが出来ます。今は時期的にちょっと寒いですが、陽気のいい頃なら何時間でもいられそうです。
ハンモックも心地良さそうです。上空230mで寝転がりながら富士山に沈む夕日が見られるのは最高に贅沢ですね。建物北西角にはまるで天空にいるかのような写真が撮れるスポットがあり、撮影待ちの人が何十人も並んでいました。
ここからはダイナミックに変わりゆく都心の景色をご紹介します。
まずは北方面。明治神宮の巨大な森と新宿の超高層の対比が印象的です。新宿は昭和に建てられた超高層ビル群が中心ですが、最新のガラスカーテンウォールのビルと比べても見劣りせず、むしろ独特の風格が感じられます。新宿のビル群はまだまだ成長を遂げており、特に西方面に向かって超高層エリアが拡大中です。写真には入っていませんが今後は65階・235mのツインタワーマンションが新宿の大きな開発トピックです。
少し東に目をやると奥に池袋が見えてきます。池袋は三大副都心の中ではやや地味な存在ですが、近年劇場や映画館の整備が相次いでいます。超高層という点でもタワーマンション等の建設が続き、景観が大きく変わってきています。ただし200mを超える計画はなく、サンシャイン60が不動のランドマークです。
右手前には新国立競技場が見えます。隈研吾らしい木材を用いた新たなレガシーです。個人的にはやはり初期のザハ・ハディドの案が見たかったですが・・・
北東方向にはスカイツリーが見えます。やはり600mは異次元の高さです。それより右側に広がるのが東京駅周辺のビル群です。特に大手町や丸の内は三菱地所の本拠地であり、重厚なオフィスビルが連なる首都東京の風格を感じることが出来ます。
高さという点では最高でも200m程度であるためあまり迫力はありません。しかし前回ご紹介した八重洲や日本橋、そして常盤橋の再開発が今後進むため、スカイラインに大きな変化ももたらすでしょう。
東側は東京ミッドタウンや六本木ヒルズが圧倒的存在感です。三井不動産や森ビルといった名だたるプレイヤーが巨艦ビルを建設しています。その中間には泉ガーデンやグランドタワーも見え、住友不動産も存在感を見せています。いずれも250mクラスであり、もはやこの界隈では最低230mはないと目立つことはできません。さすがに333mの東京タワーは目立っていますが、森ビルの麻布台プロジェクトが完成すればそれも危うくなりそうです。
品川方面は羽田空港があるため、突出して高い建物はありません。空港に向かって徐々に高さが低くなっているのもよく分かります。品川の大きなトピックはやはりこの春暫定開業する高輪ゲートウェイ駅(個人的にはこの名前は違和感しかありませんが・・・)とその後のJR東日本による4棟のビル開発です。
さて、話を渋谷に戻しましょう。天空の新スポットの足元ではさらに次の工事が進んでいます。
渋谷駅の目の前で進んでいるのは桜丘地区再開発。29階、39階のツインタワーが建設される予定です。高さは180m級でセルリアンやヒカリエと並び、スクランブルスクエアの取り巻きとなります。
パースです。渋谷のビルはどこもそうですが、ただの箱ビルではなくデザインが変化に富んでいると感じます。若者文化の発信地らしくアクティブなイメージを具現化させているのでしょうね。
そしてここもたくさんの地権者をまとめて集約化するプロジェクトです。この手法は森ビルが有名ですが、東急も負けてはいません。特に本拠地であるここ渋谷のプロジェクトに東急は並々ならぬ思いを抱いていることでしょう。
やや規模は小さいですが他にも再開発は続きます。東口ではヒカリエの裏に新たな複合オフィスビルを建設する計画が浮上。低層部に商業施設を誘致し、賑わいをさらに波及させていく戦略です。
駅からやや離れたところにはドン・キホーテによるホテル計画が始動しています。ユニーを飲み込みつつあるドンキですが、新たな事業展開としてホテルに参入するようです。ここはかなりいびつな敷地です。
最後に鉄道の動きを見ておきます。東京のターミナル駅はどこも乗り入れ路線が多いのですが、渋谷は再開発の他に鉄道の移設も大きなプロジェクトとして動きがあるのが特徴です。
このうち地下鉄銀座線は利便性向上のための移転拡張が行われました。以前の2面2線の相対式ホームから1面2線のゆとりのある島式ホームへの大改造です。天井が他駅と比べて特徴的です。
以前の駅はこちら。結構狭いです。新ホームになって幾分か混雑が緩和したのではないかと思います。旧ホームは先ほど紹介した東急東横店などと共に解体され、跡地にビルが建設される予定です。
いかがでしょうか。渋谷スクランブルスクエアは今までになかった開放感満点の全く新しい展望台です。本当に空にいるような気分になれます。料金は2000円ですが、それだけの価値があると思います。
そして鉄道の移設計画や再開発も進行中。地下(銀座線は本当は地上ですが・・・)から天空の展望台まで。渋谷の大改革はまだまだ始まったばかりなのです。
コメント
名古屋の名駅エリアも渋谷を見習って、思い切った大規模激変再開発をするべきですね。
現状、あまりにも情けないです…
東京は世界都市の一角として他都市との競争、さらに日本経済全体を引っ張るべく開発が行われていますので名古屋のような地方都市とはそもそも比較すべきではないんですよ。そして名古屋が東京と全く同じことをするのは不可能ですし、真似したところで劣化コピーにしかなりません。ですから名古屋には名古屋の身の丈に合わせた事をすべきです。
それにしても小牧さん「情けない」という言葉がお好きなようですね、とりあえずそれ言っとけば対象を簡単に否定できる便利な言葉ですもんね。
128万人の乗降客数を誇る名古屋駅ですが220m 180m 195mのビルが既に建設されておりその上で駅西二棟 駅南タワマン 名鉄近鉄再開発など検討している方で情けないとは思いませんがね。
むしろ渋谷駅は340万人のもの乗降客で溢れかえっていたにも関わらず今まであまり開発されなかったことの方が不思議ですよ。需要に対する供給が少なすぎました