JRゲートタワー

JRゲートタワーは、名古屋ターミナルの建て替え跡地に建設された複合超高層ビルです。将来リニア新幹線が開通した際のゲートとなる想定から名づけられました。

タワーズとは低層部の各階で連結しており、名古屋駅の駅ビルとして機能しています。延床面積は単体でも26.5万と超巨大で、タワーズと合わせると70万平米に迫り、駅ビルとして世界一の大きさです。

 住所  中村区名駅一丁目1番3号
 高さ  220m
 階数  46階
 敷地面積  11,695.14 m²
 建築面積  10,492.78 m²
 延床面積  265,575.95 m²
 竣工  2017年
 建築主  JR東海
 設計  日建設計など
 施工  大成建設・鹿島建設

全景です。東側に低層部、西側に高層部です。駅表から見ると低層部のボリュームが際立ちます。それもそのはず低層と言っても90mくらいあります。これだけで並の高層ビルより十分大きいサイズです。

外観は白基調+ガラスの青が際立ちます。デザイン監修はアメリカの一流設計事務所のKohn Pedersen Foxが行っており、タワーズと外観の雰囲気を合わせつつ、現代的で直線的なデザインとなっています。

大名古屋ビルヂング前から見ると220mもの高層部さえ大部分隠してしまう巨大な低層部の迫力が伝わってきます。この巨大な箱は商業施設で構成されています。1階はバスターミナル+店舗、2階から8階は高島屋です。9階10階はビックカメラ、11階はユニクロ、12階13階はレストラン街、14階は機械室など、15階はスカイストリートとなっています。

高島屋はタワーズの増床です。コンセプトとしては通常の百貨店より若干若者向けで、高島屋の「妹」という位置づけです。タワーズと合わせた売上高はかつての地域一番店だった松坂屋をはるかに上回り、年間2000億円をたたき出します。全国では伊勢丹新宿本店、阪急百貨店うめだ本店に次ぐ第3位の座を確たるものとしています。

低層部1階のエントランスは大屋根がかかっています。名古屋駅桜通口から出た人を最初に受け入れる玄関です。3連のエスカレーターがビル内に連絡しています。

大屋根の下はイベントスペースとしても使えます。多くの人が行きかうこの空間は展示会やイベントで大きな宣伝効果があるでしょう。

近年大きなLEDビジョンも設置されました。宣伝効果とともに都会的な大型ビジョンは来訪者にインパクトを与えています。

南から見た様子です。エスカレーターのシャフト、商業施設部分、スカイストリートなどが分節された箱の積み上げのように見えます。渋谷ヒカリエもそうですが、2010年代中旬のはやりのデザインです。

右上の部分はスターバックスの屋外テラス席です。地上70mに位置するスタバの中では日本一高いところにある店舗とされています。ここからの景色もなかなか見ごたえがあります。

夜になるとガラスの部分からは光が漏れ出します。ミッドランドスクエアもそうですが、特にエレベーターは外から光の帯となって見えるためきれいです。その他の照明も都会のきらめきに華を添える存在です。

真横から見た様子です。高層部はやや青っぽく見えます。高層部の縦ルーバーは光の加減で順光で見る(南西化南東から見る)と白っぽく、そうでないと青っぽく見えます。

縦ルーバーが入っていないあたりはJR東海が運営するゲートタワーホテルです。その上がオフィス。高級ホテルが最上部にあるパターンが多いですがここはホテルを中間階に入れています。そのためホテルも高級というよりは駅直結の便利なシティホテルといったポジションです。

白と青というのがJR東海らしくシンプルです。新幹線を連想されるのも好印象です。デザイン的に特別抜きんでているわけではありませんが、JR東海らしく機能的で安定感のある雰囲気です。

やや右、1階をそのまま進むとバスターミナルがあります。かつて名古屋ターミナルビルで市バスとJRバスが乗り入れる2層のターミナルは市バスだけとなり、階層も1層となりました。

西口から見た様子です。こちらから見ると低層部がないので220mの高さ感をより味わうことができます。

デザインは低層部は横基調、中層部以上は縦基調です。既存のタワーズと調和した外観デザインとなっています。

左奥、JPタワー名古屋との差は20mあまりですが、遠近法でかなり差があるように見えます。名駅ビル群は見る方向によっていろいろな姿になるので面白いです。

低層部の貫通通路です。タワーズガーデンからJRゲートタワーを通り、JPタワーまでつながっています。名古屋ターミナルビル建て替え以前は十分でなかった南北動線をビル内に広く確保した形です。名古屋駅方面から流れてくる大量の人で通路は常に賑わっています。

駅に近い方にはシャトルエレベーターがあります。9階に止まる以外はタワーズと同じです。ただしタワーズと比べるとちょっとコンパクトです。

スカイストリートです。タワーズと同じく15階が通路になっており、商業エリアからオフィス、ホテル方面に連絡します。タワーズともつながっています。先ほど紹介したスタバもここから行けます。

タワーズほどではありませんが景色が見られるのがポイント。ビル南端からはミッドランドスクエアなどがよく見えます。北の方に行くと高層棟とJPタワーの隙間から新幹線もちょっと見えます。

このビルの再開発構想が持ち上がったのが2008年、隣のJPタワー名古屋との一体計画でした。当時リーマンショックの後だったのもあり、不景気で絶望だった雰囲気を吹き飛ばす超大型再開発計画として話題になりました。

しかも当時は260m級という高さでした。完成したばかりのミッドランドスクエアを抜き、名古屋で最も高いビルの座が塗り替わる可能性がありました。その後やや縮小して今の高さに落ち着いています。260m案も見て見たかった気がしますが、今のこの並びも調和していていいと思います。

なお完成時期は2015年予定でしたが、最終的に開業したのは2017年になりました。基礎部分に名鉄の函体が入り込んだ形になったのがやはり難工事になり遅延が発生しました。2008年の計画発表から考えるとほぼ10年越しの計画となりました。

リニアができるときにはここが名古屋の新たなゲートとなるでしょう。都心に相応しい複合超高層ビルとして名古屋駅地区をこれからも盛り上げていってほしいです。

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